① 何が起きた?

以前、会社の独身寮で一人暮らしをしていた時期がありました。それまでは家族と近い距離で生活していましたが、あるとき「自分が『いい人』でいようとするのは、自分自身の性格だけが理由なのだろうか」と考えるようになり、あえて家族と物理的な距離を取ってみることにしました。

② 当時どう感じた?

家族との距離が近いほど、「親だから」「子供だから」「家族だから」「いい人でいなければ」といった感情や役割が生まれます。その中に長くいると、自分が本当にそうしたいのか、環境によってそう振る舞っているのかが分からなくなっていました。

③ なぜそうなったのか?

家族との距離感や親からの独立といった問題がきっかけでしたが、もう一つ考えていたのが、人格は家庭環境からつくられるのではないかということでした。子供は生活環境を選べず、家庭の中で親の言葉・行動・家族同士の関係・家のルール・物事への考え方・人との接し方を日常の中で少しずつ学んでいきます。そう考えると、自分が「いい人」であろうとすることも、生まれつきの性格だけでは説明できないように思えました。

④ そこから何に気づいた?

ただし、人格が家庭環境だけで決まるわけではなく、学校・友人・部活動・アルバイト・会社・趣味のコミュニティ・海外での生活など、その後に所属するさまざまなコミュニティからも影響を受けます。「家庭環境によってつくられた」のではなく、「家庭を含めた複数の環境の中で少しずつつくられてきた」と考える方が自然だと気づきました。そして、近すぎるものは見えにくく、物理的な距離を取ることは「相手から逃げること」ではなく、「自分と環境の関係を見るための距離」になるのだと思いました。

⑤ 今ならどうする?

今なら、家族・職場・いつもの人間関係から少し離れて、「この反応は本当に自分の性格なのか」「この環境にいるからそう反応しているのか」「別の場所に行ったら自分はどう振る舞うのか」と、外側から自分を眺めてみます。環境を変えれば必ず自分が変わるわけではなく、離れてみて初めて、自分の中に残っているものに気づくこともあります。